2022.10.02

お医者様の相続で注意すべきポイント

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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開業医(個人経営)の先生は、生前に計画的な相続税対策が必要なことが大半かと思われます。

開業医の相続は特殊であるからです。

この記事ではお医者様の相続税申告業務を通じて体験した、問題になりやすい3つのポイントとその対策についてご説明します。ご自身の相続に当てはまりそうなものが1つでもありましたら、対策をとられてはいかがでしょうか。

問題点1.将来多額の相続税が課税される

課題① 医療法人の場合、相続税が課税されるタイプの法人かどうか

現在日本に存在する医療法人は

  •  相続税が課税される医療法人
  •  相続税が課税されない医療法人


に分別されます。
このあと様々な分岐が続きますが、大まかに言うとこのようになります。

ご自身が設立している医療法人が相続税が課税されるタイプの医療法人だった場合には、課税される評価額が、当初出資した金額の数百倍以上膨れ上がっていることは多々あります。顧問税理士と一緒に毎年法人の出資持分の税務上評価額を算定し対策を継続的に検討することが必要です。

ご自身の法人の出資持分の評価額を把握されていない場合は、将来の相続において税務上も、遺産分割協議を作成する上でも、相当困難な状態になっているとご認識頂いた方が良いでしょう。

課題② 十分に相続税対策がとれているか

相続税の対策は、財産ごとに対策内容が異なります。以下、簡単に注意点をまとめます。

土地

対策を講じた後も、小規模宅地等の特例を適用できるか。適用ができない場合でも、結果として節税につながっているか。

医療法人の出資持分

評価対策を十分に講じているか。
特定の評価会社に該当していないか。
新認定医療法人制度等の活用の余地がないかを十分に検討しているか。

これまでのご面談の経験から、「出資持分放棄」について法的性質をご理解されている方は多くても、実務的な側面からご理解されている方は少ないように思えます。出資持分の承継について具体的に検討を進めてみると、これを適用したほうが良いと判断が覆ることもございます。
つまり、知識として知っているだけの専門家ではなく、実務で対応したことがある専門家に相談することが重要に思えます。

その他財産

  • 法人へお金を貸し付けていないか
  • 評価額が低くなっている時期に生前贈与等を検討したかetc…

また、十分に検討されていない相続税対策は、逆に相続税額を増やしてしまうこともあります。
対策を講じた結果、前述の小規模宅地等の特例の適用が受けることができなくなった等が実際に多いです。

問題点2.遺産分割協議において財産バランスが崩れやすい

課題① 想定される遺留分支払い金額を相続人が準備できるか(遺産分割対策)

ご兄弟姉妹の仲が良くても、遺産分割協議は別と考えるご相続が多いです。
出資持分の評価額が多額になってしまうと、バランスがとれなくなります。
そのため、出資持分を取得する人が、代償として他の相続人に現金を支払うことが多いです。
つまり、後継者が結果として一番損を被ることとなります。そういった相続をたくさん見てきました。金銭的負担が発生し得るため、相続税よりも遺産分割協議の対策をまず重視するべきです。

こういった事例は会社経営をしている方のご相続の場合においても多く生じています。
詳しくは以下のコラムをご覧ください。

経営者の相続に対する誤った理解【現場体験記】
https://www.earlycross.co.jp/souzoku/keieisyanosouzokunitaisuruayamattarikai-gennbataikennyori/

問題点3.相続税が多額なため、10ヶ月以内に納税資金を調達するのが困難

課題 相続人が納税資金を準備できるか

お医者様の相続は相続税が高額になりやすいですが、現預金の残高は割合的に意外と少額であることが多いです。
これは様々なケースが考えられます。

  • 医療法人から意識的に給与をとらないようにしていた
  • ご子息の教育費(医学部進学)等で多額のコストがかかっていた
  • お仕事が忙しく、プライベートで投資などをしていなかった
  • 生活水準が高かったなど

そのため、相続税の納税ができない状態になっているケースが多いです。
相続税は延納や物納、納税猶予制度はありますが、原則として10ヶ月以内に金銭一時納付をする義務があります。
これらの課題に対する対策手法は多くありますが、すべて一長一短であるため、ご自身の相続にあった形を検討する必要があります。

おわりに

いかがでしたか?この記事では、お医者様の相続の問題点

  1. 将来多額の相続税が課税される
  2. 遺産分割協議において財産バランスが崩れやすい
  3. 相続税が多額なため、10ヶ月以内に納税資金を調達するのが困難

について解説いたしました。
お医者様の相続税対策に関することは、経験豊富な税理士法人アーリークロスにお気軽にお問い合わせください。

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