2024.04.22

相続した不動産を譲渡するときに必要な書類は?

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

相続した不動産を譲渡する際、多額の税金を支払うことになるのではないかと悩んでいませんか?

多額の税金を支払うことがないように生前にご家族で確認しておくべき書類についてご説明いたします。

譲渡所得の計算の概要

譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいいます。

資産の取得時から譲渡時までの所有期間中の価値増加に着目して課税するものです。

不動産を譲渡した場合の譲渡所得は、①譲渡対価ー(※1 取得費+※2 譲渡費用)で算出します。

そして、①に②その不動産の所有期間に応じる税率(※3)を乗じて譲渡所得に対する所得税が計算されます

つまり、①×②=不動産の譲渡に係る所得税となります。

※1 取得費とは不動産の購入代金(売買契約書で確認)、建築代金(建築請負契約書で確認)、購入手数料のほか設備費や改良費です。
※2 資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用その他その譲渡のために直接要した費用などです。
※3 ②は2種類あります。
   譲渡年の1月1日における所有期間が5年以下・・・所得税30.63%+住民税9%
   譲渡年の1月1日における所有期間が5年超 ・・・所得税15.315%+住民税5%

実際の傾向

相続した不動産を譲渡したと相談を受けますが、「売買契約書はない」、「要らないと思って捨ててしまった」という方がほとんどです。

前項でご説明しました譲渡所得の計算には原則として売買契約書や建築請負契約書に記載の金額を使います。それがなければどのようになってしまうのでしょうか。

そのような場合は収入金額(売却金額とお考え下さい)の5%を取得費として控除します

つまり、譲渡対価のほとんどが課税されてしまうということになります。

そのようなことにならないように購入時の書類は必ず保管するようにしましょう。

確定申告に必要となる書類

不動産の購入時の書類の保存をお勧めしましたが、具体的にどのような書類が確定申告に必要となるのかをご案内します。

購入時だけでなく、保有時、譲渡時にも必要となる書類がありますので併せてご紹介します。

購入時

  • 売買契約書、固定資産税の精算金関連の書類

 取得価額を確認します。

  • 諸費用の書類

 購入に付随する登記費用、不動産取得税(領収書)、抵当権設定費用は取得費とすることができます。

その他にも取得費とすることができるものがあるので関係書類は取っておきましょう。

  • 当時の確定申告書

 今回譲渡した不動産を取得する直前に所有していた不動産の譲渡所得の申告をしている確定申告書が必要になることがあります。

その不動産について「特定の居住用財産の買換えの特例」、「固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例」などの適用を受けていた場合です。

その適用を受けている場合は、今回譲渡した不動産の取得費をそのまま取得費とすることはできません。

その直前に所有していた不動産の取得費を加味することになり、譲渡所得が思ったより高くなることが多いので注意が必要です。

紛失している場合は、税務署の窓口で過去の確定申告書の閲覧申請をします。

相続した不動産を売却するときは過去どの様な経緯でその不動産を取得しているのかわからないことがあると思います。

思わぬ税金を払うことがないよう、払うとしても事前に理解した上で売却計画が立てられるように、日頃からご家族で話しておかれると良いでしょう。

保有時

  • 相続、贈与の登記費用の請求書・領収書

取得費とすることができます。

  • 増改築した場合の工事の資料

取得費とすることができます。

譲渡時

  • 売買契約書、固定資産税の精算金関連の書類

 収入金額を確認します。

  • 売買代金受領の資料など

 入金状況を確認します。

  • 仲介手数料等譲渡費用領収書

 仲介手数料、収入印紙代、土地等とともに取得した建物等の取壊し費用等は譲渡費用とすることができます。

  • 譲渡した土地・建物の登記簿謄本

 所有権が移転していること(移転時期)を確認します。

相続した不動産を譲渡する時の特例

 相続した不動産を譲渡したときの譲渡所得の計算をする際には、いくつかの特例が設けられています。使える特例は必ず使うようにしましょう。

要件が厳しい規定もありますので、事前に調べておくことが肝心です。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(相続税額の取得費加算)

 相続税を支払って取得した土地・建物などの財産を、その相続税の申告期限の翌日から3年以内に譲渡した場合に、その支払った相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算(取得費加算)することができるというものです。

次に紹介する特例との併用ができなかったり、その不動産を譲渡して得た利益の額を限度として控除しなければならないなどの注意点もあります。

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

 相続によって取得した空き家を一人暮らしだった被相続人が死亡した日以後3年を経過した日の属する年の12月31日までに譲渡したときは、その空き家を譲渡して得た利益から3,000万円を控除できます。

令和6年1月1日以後の譲渡から空き家を取得した相続人が3人以上の場合の特別控除は一人当たり2,000万円となります。

この特例は要件が多数設けられているので適用の可否については、専門家に相談されることをお勧めします。添付すべき書類も多いので、計画的に準備しましょう。

おわりに

いかがでしたか?この記事では相続した不動産を売却するときに必要な書類についてご説明いたしました。

これから不動産を購入される予定の方も、その不動産を相続する方のためにご紹介した書類はしっかり保管しておき、その保管場所を相続人に伝えておくようにしましょう。

相続に関する無料相談を行っていますので、お気軽に福岡相続テラス(税理士法人アーリークロス)にご相談下さい。

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