2022.12.12

貸付事業用宅地等の評価減の仕方

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに 

 お持ちの土地を貸し出している方は、相続の際に土地の評価を下げられる「小規模宅地等の特例」の中でも「貸家事業用宅地等」に該当すれば減額できることをご存じでしょうか?

 この特例を使えば、土地の価額を最大50%減額ができるんです。

 昔住んでいた家を、色んな事情で今は家族の誰も住めないけど、空き家にするのはもったいない……と家を貸し出している方も多いのではないでしょうか。

 もしかするとその土地、相続税評価の減額ができるかもしれません。

 お持ちの土地・これから相続する土地について、適用ができるか確認してみましょう。

そもそも、小規模宅地等の特例とは

『 小規模宅地等の特例 って自宅に適用するものじゃないの?』

 相続税について調べたことのある方は、小規模宅地等の特例についてそんなイメージを持っているかもしれません。 

インターネットで調べた際に、自宅の土地に適用できる制度として紹介されている記事もありますが、
小規模宅地等の特例とは、相続の際「相続税を支払うために、自宅や事業をしている土地を売り払わなければならない!」といった本末転倒なことがないように作られた制度です。

そのため、次の4つのどれかに該当する土地は評価を下げられるようになっています。

  1. 特定事業用宅地等
  2. 特定居住用宅地等...自宅の土地(※)
  3. 特定同族会社事業用宅地等
  4. 貸付事業用宅地等...人や企業に貸している土地

それぞれ、条件や減額できる面積や割合が異なります。

特定居住用宅地等についての詳しい説明はこちら
相続テラス:相続した実家の土地が非課税となる?小規模宅地等の特例とは?

今回は、4. 貸付事業用宅地等 についてご紹介します。

貸付事業用宅地等とは

 対象となる土地は、相続開始直前において相続人や、被相続人が賃貸を行っていた次のような土地です。

  • マンション
  • アパート
  • 駐車場 ※ただし青空駐車場については対象外
  • 一戸建ての賃貸住宅

 従って、土地の上に建物または構築物(アスファルトなど)が建造されている土地などに限られます。ちなみに棚卸資産およびこれに準ずる資産を除きます。

この様な土地について、次の条件に合う場合は、200㎡を上限として50%減額できます。

「貸付事業用宅地等」の特例適用の為の条件

貸付事業を行っている人の条件

 次のいずれかであればOK!

  1. 被相続人
  2. 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族

<貸付事業の条件

 次の条件にすべて当てはまっている必要があります。

  • 相続開始前3年を超えて貸付事業をしていること
    ※ただし、相続開始前3年以内に新たに貸付業を始めた場合も、相続開始前3年以上前から事業的な規模で貸付をしていた土地に対しては適用ができます
  • (被相続人が貸付事業を行っていた場合は)貸付事業を相続税の申告期限までに引き継いでいること
  • 相続税申告期限(相続が始まってから10カ月後)まで貸付事業を行っていること

減額の基本の計算方法

 土地の面積が200㎡以下の場合は50%減額できますが、200㎡を超えている場合は、次の算式を使って減額の価額を計算します。

 例えば250㎡ の土地の評価額が 200万円だったとすると、上記の算式にあてはめてみると80万円減額できます。

 つまり、この土地は200万円 – 80万円=120万円で申告できるということになります

他の小規模宅地の特例と併用するには、注意が必要!

 貸付事業用宅地等は、他の小規模宅地等の特例に該当する土地がある場合、単純にそれぞれ使用することはできないため注意が必要です。

 つまり、本特例を他の土地にも併用する場合、使える土地の総面積に限度があります。

 次の調整計算より限度内併用できる面積を次の算式に沿って計算します。

 適用できる面積を求めたら、また基本の計算方法で減額できる金額を出して、土地の評価額から引くという手順になります。

この特例を使うには

 実際にこの特例を使って相続するには次のことが必要です。忘れたり、不備があってしまうと適用出来なくなってしまいますので、注意しましょう!

  1. 相続税の申告が必要です
  2. 本特例、また他の特例の対象となりえる土地の取得者が複数いれば、その全員に合意をとる必要があります
  3. 遺産分割協議書や、遺言などの添付書類も税務署へ提出しましょう

おわりに

 いかがでしたか?この記事では貸付事業用宅地等における小規模宅地等の特例について解説しました。

  • 貸付事業用宅地等は 200㎡まで50%減額できる
  • 貸付事業は相続開始前3年以上~相続税申告まで行っていなければならない
  • 他の小規模宅地の特例もある場合は、減額できる面積が変わる

 というポイントを抑えて、ぜひお持ちの土地や相続された土地を見てみてください。

小規模宅地等の特例では要件を満たすかどうかの判定が重要です!相続テラスでは初回面談を1時間無料で行っております。 
 お気軽にお問い合わせください。

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