2020.03.30

贈与税の基礎と特例及びその活用方法

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

贈与とは、「あげる」と「もらう」という意思の疎通により財産を承継する

方法ですが、一口に「贈与」といっても税制には暦年贈与をはじめ様々な

贈与制度が用意されており、これらの特色を理解した上で贈与を行うこと

で円滑な財産の承継が可能となります。

主な贈与に関する制度

暦年贈与

もらう人1人あたり毎年110万円まで無税で財産を渡すことができる

相続時精算課税贈与

あげる人、もらう人1組あたり2500万円まで無税で渡すことができる

教育資金贈与

もらう人1人あたり1500万円まで無税で渡すことができる

住宅資金贈与

もらう人1人あたり最大3000万円まで無税でわたすことができる

各制度の特色と利用方法

暦年贈与

相続税がかかる人は長い期間をかけて110万円以下の贈与を行うと相続税の負担が軽減される

相続時精算課税贈与

① 儲かっている会社の自社株など値上がりが予想できる資産を事前に渡すことで値上がり前の価額で相続税を計算することができる

② 一度選択すると暦年贈与ができなくなるため選択は慎重に行う

教育取得資金贈与

① 体調が芳しくない場合に一括で贈与することで相続税の負担を減少することができる

② 利用に当たり手続きが煩雑なため、必要な額を必要な都度渡すことで贈与・相続税の負担軽減が可能であり、①のような事情がない場合は避ける

住宅取得資金贈与

①  子たちの自宅取得を支援することができるので非常に有効

② すでに購入が済んでいる自宅への支援は借入金の返済原資とされる場合には本制度の適用がないため自宅の購入を支援する場合には贈与のタイミングをしっかりと確認する必要がある

贈与に関する大前提

意志能力

贈与は「あげる」+「もらう」の意志疎通が前提となるため認知症や未成年者が当事者となる場合は後見人や親権者の同意などが必要となります

生活費、学費の援助

① 上記の制度以前の論点として、扶養義務者相互間の贈与(生活費の支援、学費の支援)などは110万円とは別の考え方となり無税で行うことができます

② ①の制度は必要な額を必要な都度渡す必要があります

生前贈与加算

相続税の負担軽減に有効な暦年贈与ですが駆け込みの贈与を避けるため亡くなる3年前以降の相続人等への贈与は相続税の負担軽減にはなりません

まとめ

一言に贈与といっても、①そもそも贈与が成立しているか②贈与のうち生活費等の非課税の対象となるものの検討はされているか③それぞれの制度の特性を理解し適切な選択および手続きがなされているかについて検討する必要があります。

また、人生100年時代といわれる昨今では自身の生活や散財に近い贈与は一時の感謝の対価としては高くつくことが多く節税のためといっていたずらに贈与を進めることについても注意が必要といえます。

なお、将来の不安に備え渡してしまうよりも名義だけ子供や孫にしてしまい管理や保管は自身で行う場合もありますが、この場合には典型的な名義財産として相続税の課税対象となるため賢明な手段とはいえません。

単純にあげるよりも1.~4.を踏まえるため専門家に相談のうえ検討、実行されることが望ましいものといえます。

福岡相続テラス(税理士法人アーリークロス)では相続に関する無料相談を行っておりますので、お気軽にご連絡ください。

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