2020.05.29

税務調査を受けないための相続税申告書

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

この記事をシェアする

友だち追加

はじめに

相続税の申告書を提出したが、どんな場合に税務調査があるのか、また、相続税申告書を提出しなかったが、税務署が財産を把握して、調査があったらどうしようと悩んでいませんか。

この記事で紹介する注意点を押さえれば、税務調査の心配が軽減されることは間違いありません。

なぜなら、税務調査が行われる条件はほぼ決まっているからです。

この記事では、必ず気を付けなくてはならない、相続税申告のポイントをいくつかご紹介します。

この記事を読み終えると、やみくもに税務調査を心配した日々を過ごすことなく、税理士に依頼すべきかどうかのご判断となります。

相続財産の申告漏れや申告内容の間違いは、ほぼ分かってしまいます

税務署には、国家権限があるため、金融機関等は情報を開示しなくてはなりません。

個人情報だから、大丈夫!ではないのです。

なぜなら、それがまかり通る社会であれば、「正直者がバカを見る」事になりかねません。そのために課税の公平を図らなければならない税務署には最高権限が与えられています。

税務署に調べられないものはありません。

相続税申告書の注意点

  1. 財産の計上漏れはありませんか。
  2. 相続人情報(基礎控除)は誤っていませんか。
  3. 相続税法上の特例を誤って適用していませんか。
  4. 家族名義の預貯金は、相続財産ではありませんか。
  5. 不動産の評価の間違いはありませんか。
  6. 有価証券はきちんと評価していますか。
  7. 生前に贈与を受けていた場合は財産計上しなくてはいけない場合があります。
  8. 過去の贈与を申告していますか。
  9. 未分割の場合も申告期限内に申告が必要です。
  10. 債務や葬儀費用を多額に計上していませんか。

注意点を見て、心配な箇所があった場合

注意点を一つずつ説明すると、長くなり過ぎるため、一つでも注意点にご心配がある場合は、まず専門の税理士へ相談してみた方が良いでしょう。

相続税の申告書をきちんと見直してくれる税理士は、早期に誤りを見つけて、最善の策を提案してくれる事と思います。

もし仮に相続税の間違いに気づかないままでいたとします。後日(相続税の調査は、大体相続開始から2年後になります)、調査があり、申告内容が間違っていた場合は、修正申告、それに伴う加算税、延滞税という附帯税がプラスされます。

相続税の調査は、最終課税との認識のもと、大変細かい調査が行われます。調査が終了するまで大体1か月ほどかかると思ってください。

相続税申告書の誤りだけであれば修正申告だけで済みますが、財産が漏れていた場合は、遺産分割協議もやり直さなくてはなりません。

相続税の申告書も提出して、預貯金の使い道も決まり、使ってしまった後の税務調査による追徴課税は精神的にも辛いものです。

税理士に依頼するメリット

税務調査だけでなく、相続税には様々な特例が設けられており、その適用要件も細かく規定されています。

適用要件を満たすかどうかの判断や、不動産等は財産評価通達等に基づき評価の仕方が決められおり、専門的な知識が必要となります。

税理士報酬は、一般の税理士報酬よりも高額となりますが、専門的な知識と手法により、特例の判断が出来ずに特例を適用しなかった場合と、正しい知識のもと、特例を適用した後の相続税額と対比してみると、決して高い報酬とは言えないでしょう。

しかも、その後仮に税務調査が行われた場合も税理士が立ち会い窓口となりますので、その安心料と考えることも出来ます。

その特殊性から、相続税申告書の作成は受けない税理士もおりますそれほど難しい税法でもあるということです。

相続税の申告は、相続税の経験豊富な税理士におまかせください。

最近の国税調査の動向

国税庁発表によりますと、平成28事務年度における相続税の実地調査件数は12,116件(平成27事務年度11,935件)で、このうち申告漏れ等の非違があった件数は9,930件(平成27事務年度9,761件)で、非違割合は82.0%(平成27事務年度81.8%)にもなるそうです。

また、資産運用の国際化に対応し、海外資産の把握にも力を入れており、海外資産関連事案に係る実地調査件数は増えて来ています。

申告漏れや申告内容が間違っていた場合の加算税・延滞税

申告の内容に誤りがあった場合やそもそも申告の必要があったにも関わらず申告をしていなかった場合は、期限後申告書もしくは修正申告書を提出し、本税のほかに加算税、延滞税を納付しなくてはいけません。

加算税には、無申告加算税、過少申告加算税、重加算税があり、重加算税に至っては、基礎となる税額の35%(修正申告の場合)、期限後申告では基礎となる税額の40%に相当する加算税が課せられます。

また、延滞税においても、通常の除算期間がなくなり、相続税の申告期限の翌日から納付するまでの日数相当の延滞税が掛かります。大変重い税金となります。

おわりに

本記事では、税務調査のリスク、その注意点、税理士に依頼するメリット等についてご説明しました。

相続財産をなるべく多く残したい気持ちは、脱税という行為に繋がりかねません。

また、意図がなくても、特殊性の強い相続税の申告書は誤りが多い事も多々あります。

がんばって申告書を作成してみようとしたけれど、間違えそうな場合や、相続後は何かと忙しいもので、思わず申告書の提出が遅れてしまいそうな場合は、税理士にご依頼される事をおすすめします。

前出しましたように、相続税には様々な特例が設けられていますが、申告期限までにその特例を選択しない場合は後日適用できません。多額の相続税を多く支払う事となってしまいます。

福岡相続テラス(税理士法人アーリークロス)では相続に関する無料相談を行っておりますので、お気軽にご連絡ください。

この記事をシェアする

友だち追加
  • 平日夜間対応
  • 事前予約にて
    土日祝対応
  • テレビ会議対応

相続に関すること、お気軽に
ご相談ください。相談は無料です。