2022.03.02

相続した空き家を譲渡する際の注意点

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

相続した空き家を売った、もしくは売ろうと考えていらっしゃる場合、確定申告で3,000万円の特別控除が使えるかどうか分からず、お悩みではございませんか。

この記事でご紹介するいくつかのポイントをしっかり押さえておけば、相続した空き家を売った場合の3,000万円の特別控除の適用を検討することができます。

なぜなら、相続した空き家がどのような空き家であり、いつまでに売却をし、どのように確定申告をすれば良いかというポイントをしっかり理解しておきさえすれば、3,000万円の控除が使えるからです。

この記事では、相続した空き家を売却した場合の要件やその後の確定申告の際の注意点を詳しく解説します。

相続した空き家を売却しても必ずしもすべての場合において3,000万円控除が使えるというわけではありません。

売却してしまった後に特例が使えなくて後悔することがないよう、事前に要件をしっかりとチェックしてみてください。

また、相続した空き家を今後売ろうと考えている方もご参考になると思います。

空き家譲渡の特例とは

被相続人が居住していた家屋または被相続人が居住していた家屋の敷地等を、相続した相続人が、耐震リフォーム又は取壊しをした後、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができる特例です。

これを、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。

この特例は、空き家の発生を抑制するための特例措置として、平成28年度の税制改正により創設されました。それまでは相続開始の直前まで被相続人が家屋に居住していた場合のみ適用対象でしたが、平成31年4月1日以降の譲渡について、要介護認定等を受け、被相続人が相続開始の直前に老人ホーム等に入所していた場合においても一定の要件を満たせば適用対象となるようになりました。

ただし、老人ホーム等ではなく子の家に介護等の目的で転居し同居していた場合等においては、この特例は適用できませんので注意が必要です。

1.何を売るか

被相続人が居住していた家屋または被相続人が居住していた家屋の敷地等が本特例の適用対象です。

①被相続人が居住していた家屋とは

相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、以下のポイント1から3までのすべてにあてはまるものをいいます。

ポイント1:建築年月日

昭和56年5月31日以前に建築されている家屋であること(登記事項証明書や権利証などで確認できます)。

ポイント2:建物の構造

区分所有建物登記がされている建物でないこと。

ポイント3:居住の有無

相続開始の直前において被相続人以外に居住していた人がいないこと。

よくある間違いとして、売却まで少し期間があるため一時的に貸し付けてしまうことがありますので注意が必要です。

②被相続人が居住していた家屋の敷地等とは

相続開始の直前において、被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地またはその土地の存する権利をいいます。

2.いつまでに売るか

1.の要件に該当するかどうかの確認が出来ましたら、次はいつまでに売却するかを確認しましょう。以下の2つの要件を満たさなくてはいけません。

要件1

相続開始の日から起算して、3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却であること。

要件2

特例の適用期限である令和5年12月31日までに売却すること。

3.どのようにして売るか

被相続人が居住の用に供していた家屋が耐震基準を満たしていない家屋の場合は、耐震工事をした後に売却するか、もしくは、取壊し後の土地のみを売却します。

なお、取壊し後の土地を売却する際は、売買契約の段階で取り壊していることが必須となります。

「土地の引き渡し後建物を取り壊す」という特約では、この特例は使えませんので、注意してください。

また、確定申告の際の必要書類のために、取壊し前と取壊し後の写真を撮っておいてください。

参照元:国交省

4.いくらで売るか

売却金額は1億円以下でないとこの特例は適用できません。

5.確定申告の際の注意点

空き家譲渡の特例を適用するためには、確定申告が必要となります。

また、確定申告の際に必要な書類として、「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受ける必要がありますので、売却した場合は、家屋所在地の市区町村役場にて交付申請を忘れず行いましょう。

その際、前出した写真が必要となる場合があります。

6. 確定申告における必要書類

確定申告書とともに以下の書類をお住まいの所轄税務署へ提出してください。

①譲渡所得の内訳書

②被相続人居住用家屋の登記事項証明書等(不動産番号等の明細書https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joto/annai/pdf/0021010-091.pdf
を提出することにより、登記事項証明書の添付を省略することができます。)

③被相続人居住用家屋の売買契約書の写し等(家屋や敷地の譲渡価格が1億円以下であることを確認

④被相続人居住用家屋等確認書※

⑤被相続人居住用家屋の耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し(耐震基準を満たした家屋であることを確認

※被相続人家屋等確認書の申請時における提出書類については、相続後や家屋・敷地の売却後に入手が難しいものもあるため、特例適用の検討段階において、早めに申請する市区町村役場にて確認することをお勧めします。

おわりに

いかがでしたか?

相続した空き家を譲渡した場合の3000万円の特別控除についてご説明いたしました。

この特例を使うためには、売却前から注意しておかないといけない点がいくつかあることもご理解頂けたかと思います。

福岡相続テラスでは、相続税申告だけでなく、その後の手続きや注意点なども事前にお伝えしております。

様々な税金については、様々な角度で注意が必要です。

経験豊富なメンバーで、お待ちしております。

是非お気軽にお問い合わせください。

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