2021.10.10

農地を相続した場合の評価と留意点

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

農地を相続した場合でも、宅地と同じように相続税が課税されます。

また、相続登記を行うにあたり登録免許税もかかります。

農地の分類によっては多額の相続税の負担があり、納税資金を工面する必要があります。

この記事では農地の評価と農地の納税猶予制度について説明します。

この記事でご紹介する農地の評価方法を理解すれば、ご自身が所有する農地の相続税の負担が検討できます。

また、農地の納税猶予制度を活用することによって、相続税の負担を減らせる可能性があります。

この記事を読み終えると、農地の評価と農地がある場合の猶予制度について理解が深まります。

農地の評価方法

農地の相続税評価額は下記の区分の計算方法となります。

  • 【農地区分ごとの評価方法】
  • ①純農地:倍率方式
  • ②中間農地:倍率方式
  • ③市街地周辺農地:市街地農地であるとして評価した金額の80%
  • ④市街地農地:宅地比準方式又は倍率方式
  • 【評価方法】
  • ①倍率方式:固定資産税評価額×倍率
  • ②市街地周辺農地:(宅地の評価額-造成費)×80%
  • ③宅地比準方式:宅地の評価額-造成費

特に市街地農地については、固定資産税評価額と相続税評価額と大きな差が生じる可能性があります。

相続税評価額が大きいため、相続税の納税が困難になることが多いです。

※倍率及び造成費は国税庁に定める財産評価基準書により都道府県ごとに定められております。下記の国税庁のURLをご参考下さい。倍率が記載しています。

https://www.rosenka.nta.go.jp/

農地の相続税の納税猶予制度について

農業をしていた被相続人から相続等によって、農地等を取得した相続人が農業を継続する場合には農地の納税猶予制度が適用できる可能性があります。

  • 【相続税の猶予税額について】
  • 本来の税額(農地を相続税評価額により計算した税額)から農業投資価格(国税庁により定めた金額)により計算された税額の差額が農地の相続税の納税猶予税額となります。
  • 【農地の納税猶予における適用要件】
  • ①被相続人が農業を営んでいた
  • ②相続人が相続税の申告期限まで農業を引き継ぎ継続して営んでいること
  • ③相続税の申告期限まで遺産分割されていること
  • 【申告手続き】
  • ①相続税の申告書を期限内に提出すること
  • ②納税猶予税額及び利子税の合計額に見合う担保を提供すること
  • ③農業委員会より適格者証明書などの添付をすること


※適格者証明書は農業委員会に発行してもらうため時間がかかります。

相続税の申告期限に間に合わせるには、事前のスケジューリングが必要となります。

  • 【相続税申告が終わった後の手続き】
  • 相続税の申告期限から3年目ごとに継続届出書を税務署へ提出する必要があります。
  • 【農地の納税猶予が終了する場合】
  • 次の場合に猶予されて納税が免除となります。
  • ①相続人が死亡した時
  • ②相続人が農業を継続して20年が経過した時
  • ③農業を引き継いでくれる後継者へ、全ての農地を贈与し、贈与税について農地等の納税猶予制度を受けた時

※農業を廃業したり、農地を売ったりした時には猶予されていた相続税と合わせてて利子税を納める必要があります。

農地の留意点

農地は宅地と比較して様々な制限や手続きなどが異なります。

  • 事例①:農地を相続した場合
  • 農地を相続した場合には「法務局での相続登記」と「農業委員会への届出」が必要となります。
  • 農業委員会への届出は相続開始を知ってから10ヶ月以内に行う必要があります。市区町村ごとに農業委員会が定められているため、相続が発生した場合には役所にて問い合わせする必要があります。
  • 事例②:農地を売却する場合
  • 農地を売却するには、農業委員会の許可が必要になります。また、農地の用途は農業のためと定められているため農家が購入者となります。

また、農地の場所が住宅地域に近い場合には転用などにより売却しやすくなる可能性はあります。

農地の売却は条件の制限があり、手間がかかる可能性があります。

おわりに

本記事では農地を相続した場合の評価と納税猶予制度についてまとめました。

特に市街地農地は固定資産税評価額と比較して、大きな相続税評価額となり、多額の相続税の負担が生じる可能性があります。

思いもよらぬ相続税の負担を減額するためには相続専門の税理士に相談することをおすすめ致します。

福岡相続テラス(税理士法人アーリークロス)では1時間の初回無料相談を実施しております。

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