2021.09.10

生命保険契約に関する権利とは?

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

一口に「生命保険」といっても、契約内容や保険料の負担者によって、課税される税金が異なるのはご存知でしょうか?

また、死亡保険金だけではなく、保険契約自体に相続税が関係してくる事をご存じでしょうか?

この記事で紹介する保険契約の形態を理解すれば、ご自身の保険の課税関係が理解できるようになります。

なぜなら、保険は契約者、被保険者、受取人という契約形態で成り立っているため、その内容次第で課税関係が決まるからです。

この記事では、契約パターンによる課税関係の違いと、相続税に関係する保険契約にしぼりその内容ごとに説明します。

生命保険の契約形態毎の課税関係を理解することで、ご自身が契約されている保険が相続税課税対象か否かの判断をご自身で行うことができます。

保険金を受け取った際の契約形態による課税の違い

相続が開始し、死亡保険金を受け取った場合は、その死亡保険金は指定された受取人さま固有の財産となります。

また、保険は、契約形態によって受け取った保険に課される税金の種類が変わります。

受取った保険金が相続税として課されるのは、①の契約者=被保険者の場合です。

しかし、相続税が課される保険はこれだけではありません。
次項よりご説明いたします。

生命保険契約に関する権利

被相続人が死亡したことにより支払われる生命保険金はみなし相続財産として相続課税財産となりますが、まだ保険事故(被保険者の死亡)が発生していない生命保険契約でも、保険料の支払いを被相続人が行っていた場合は、生命保険契約に関する権利として相続税の課税財産となります。

例えば、契約者:夫(被相続人)が妻を被保険者として保険契約をし、保険料の支払いを夫(被相続人)が行っていた場合です。

被保険者(妻)は夫の死亡時には生存していますので、生命保険金は支払われませんが、夫がそれまで保険料を払っていた期間に対応する部分の保険金が相続財産とみなされます。(相法3①一)。

ポイントは誰が支払っているか、です。

みなし相続財産となるもの、ならないもの

生命保険契約に関する権利にも、その契約形態によって、みなし相続財産となるものとならないものに分けられます。

それぞれ次項にてご説明いたします。

みなし相続財産となるもの

例として、夫(被相続人)が妻の名前で妻を被保険者とした保険契約を行い、保険料は夫が支払っていた場合です。(保険料支払=被相続人)

こちらは、契約者には相続が発生していないので、契約の権利が相続人へ承継されません。

ただし、保険料を支払っていたのは夫ですので、夫の財産としてみなされ、相続税の課税対象となります。

また、契約者は妻ですので、遺産分割の対象になりません。(相法3①三)

みなし相続財産とはならないもの

例として、夫(被相続人)が妻を被保険者とした保険を契約し、保険料を支払っていた場合です。(契約者・保険料支払=被相続人)

この場合、契約者である夫の相続発生により、契約の権利が相続人へ承継されます。

また、夫が保険料を支払っていますので、相続税課税対象となります。

さらに、このケースは被相続人の財産となりますので遺産分割によって相続人のうち誰が承継するのかを決定しなくてはなりません。

生命保険契約に関する権利の評価方法

生命保険契約に関する権利の価額は、相続開始の時にその契約を解約すると仮定し、その際支払われる解約返戻金の額によって評価します。

また、解約返戻金の他に支払われる前納保険料や剰余金の分配金等がある場合は加算され、源泉徴収される金額がある場合は、その額を控除します。

さらに、被相続人が契約者となっている保険で、契約者貸付金を受け取っていた場合や、未払い保険料がある場合は、その額を控除します。

この場合の契約者貸付金の額は、元金及び利息の合計です。

なお、掛捨て保険等の解約返戻金がない保険については、評価しなくてよいこととなっています。(評基通214)

非課税枠について

通常、みなし財産のついては「500万円×法定相続人数」の非課税枠があります。

この非課税枠は、死亡保険金が支払われた場合に適用されるものですので、生命保険契約に関する権利についてはこの非課税枠の対象外となります。

相続財産となる生命保険全てに非課税枠が適用される訳ではないので、お気をつけ下さい。

生命保険の非課税枠については下記をご参考ください。

終わりに

いかがでしたか?

保険契約は、誰が契約していたのかではなく、保険料の支払いを誰が行っていたかにより、相続財産となるのか否かが決まることがご理解いただけたと思います。

保険契約者と保険料の支払い者が異なる保険契約をされている方は、今回ご紹介した内容にご注意ください。

1時間の初回無料相談を行っておりますので、ご自身の契約されている保険が相続財産となるのか否かで迷われた方は、お気軽に福岡相続テラス(税理士法人アーリークロス)までご相談ください。

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