2020.12.25

中小企業における議決権とその集約

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに(概要)

事業を行うにあたり多くの事業家は社会的信用及び税メリットから法人形態(とりわけ株式会社)を採りますが、その出資者たる権利(議決権)については過去、未来の承継において分散している場合等は留意が必要です。

まずは、各議決権の内容を理解し分散した(させる)議決権についての集約の必要性などの検討が必要です。

議決権の主な内容

議決権比率 決議事項 議決権比率 決議事項
1/1(100%) 属人株式の導入*1

 

 

1/2(50%)超

取締役等の選任

 

 

 

2/3(66.7%)以上

譲渡制限の導入(全株)*2 取締役の解任
定款変更(一般) 自己株式の取得
組織変更・再編 計算書類の承認
資本金の減少*3 剰余金の配当
譲渡制限株式の割当 役員報酬の決定
〃の会社・指定買取 1/3(33.4%)超 特別決議への否決
相続人への売渡請求

3/100(3%)以上

会計帳簿の閲覧
株式併合 1% 株主提案権
特定株主との自己株取得 1株 株主代表訴訟権

*1総株主半数以上&総議決権3/4以上 *2議決権株主半数以上&議決権2/3以上
*3欠損金がある場合等一定の場合

議決権の分散の原因・経緯

商法による株式分散

旧商法時代は設立にあたり7名の名義が必要であったため、名義貸し株主が存在します。

特に1990年以前設立の会社は特に注意が必要です。

事業承継対策による株式の分散

高額な株価に伴う相続税の負担を軽減するため株の一部を従業員に持たせるなど節税を目的としたばらまきがなされることがあります。

議決権の分散の解消・予防方法

(1)取得

(ア)任意取得

  • ①経営者による取得
  • ②自己株式の取得
  • ③役員・従業員持株会
  • ④生前贈与 など

(イ)強制取得

  • ①相続人等に対する売渡請求
  • ②特別支配株主の売渡請求
  • ③株式併合
  • ④組織再編 など

(2)議決権の調整

  • ①種類株式
  • ②属人株の導入
  • ③民事信託
  • ④株主間契約
  • ⑤遺言書

おわりに

議決権が分散される(する)経緯は各会社により様々ですが「今は特に支障がない」からといって放置せず将来を見据えた会社の資本関係を計画することが事業を末永く発展させる礎となりますのでこの機会に見直しをされることをお勧めいたします。

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